ランドセル選びをしていると、聞き慣れないパーツ名をたくさん見かけます。ナスカンにDカン、大マチ、かぶせ……初めてだと、ちんぷんかんぷんという方も多いのでは?
各パーツの名前や機能が分かると、とても便利。細かいポイントを意識しながらランドセルを選べますし、購入後に故障して修理に出す際もスムーズです。
そこで今回は、意外と知らない各パーツの名称をまとめました。それぞれの機能と、ランドセル選びのときに見ておきたいチェックポイントも併せて紹介します。
ランドセル前面のパーツ
まずは、ランドセルを背負ったときに後ろから見える、ランドセル前面のパーツを紹介します。
かぶせ
かぶせとは、ランドセルを開け閉めするとき、ふたになる部分です。片仮名で「カブセ」と書くこともあります。
かぶせは“ランドセルの顔”とも言えるパーツです。ランドセルの見栄えに大きく影響する部分なので、色や素材、デザインにこだわりたいものです。
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かぶせで多いのは、ランドセル前面をすべて覆う「全かぶせ」タイプです。個性的なランドセルを探しているなら、半分までしか覆っていない「半かぶせ」タイプもあります。
半かぶせランドセルは、「荷物の出し入れがスムーズ」「周りとかぶりにくい」といったメリットがありますが、一方で「交通安全カバーがつけられない」「収納の無理がきかない」といったデメリットもあります。
半かぶせランドセルを検討しているなら、メリットとデメリット両方を確認しておくことをおすすめします。
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かぶせ裏
かぶせの裏側を「かぶせ裏」といいます。片仮名で「カブセ裏」と書くこともあります。かぶせ裏は多くの場合、時間割表が入れられるように透明のポケットになっています。
ただし近年、時間割が固定でない学校も増えました。そのため、連絡帳に時間割を書いて帰る学校もあれば、毎週プリントで時間割が配布される学校もあります。
要は「時間割ポケットをあまり使わない」というケースも増えているのです。
そんな事情を反映して、時間割ポケットがないタイプのかぶせ裏も登場しています。内装と同じ素材を使ったものや、デザイン性のあるものなど、さまざまです。人とは違ったランドセルを持ちたいなら、見えない部分であるかぶせ裏にこだわるのも良いでしょう。
鋲(びょう)
鋲とは、かぶせの下部、両側にある金属の釘のこと。メーカーによっては「カシメ」と呼ぶこともあります。
鋲は通常は円形ですが、近年ではハート型やエンブレム型など、デザイン性をもたせた鋲もあります。カスタムできるタイプもあり、自分らしさにこだわることができるパーツでもあります。
自動車やバイクなどのライトが当たると、反射して光るタイプの鋲もあります。学童保育で夕方に帰宅することが多いなら、反射タイプを選んでおくと安心です。
ランドセル背面のパーツ
ランドセル背面とは、ランドセルを背負ったとき、背中に接する部分です。背負いやすさを左右するので、各メーカーとも工夫をこらしています。
背あて
背あてとは、背中に当たるクッション部分のことです。ランドセル選びで背あてをチェックするときは、フィット感とクッション性、通気性の3つが大きなポイントです。
(1)フィット感
背負ったときにぴったりフィットしていると、ランドセルが軽く感じられます。背中の丸みに合っているかどうか、実際に背負ってチェックしてみましょう。
(2)クッション性
背あては直接背中に触れる部分なので、クッション性も重要です。衝撃をやわらげる素材や形状になっているか、ぜひ確かめるようにしてください。
(3)通気性
子どもは汗っかきです。通気性があり、夏場も蒸れにくい背当てになっているかも、チェックしたいポイントです。
肩ベルト
肩ベルトはその名の通り、ランドセルを両肩に背負うためのベルトのことです。背あてと同じく、ランドセルの背負いやすさを左右する大事なパーツです。
ランドセル選びで肩ベルトをチェックするときは、立ち上がりと形状、長さの3つが大きなポイントです。
(1)立ち上がり
肩ベルトといえば昔は、立ち上がりのないタイプが一般的でした。近年増えているのが、肩ベルトがぐっと立ち上がっているタイプです。基本的に立ち上がりがあるほうが、背負いやすくなります。個人差がありますので、試着の際に確認してください。
(2)形状
肩ベルトには、昔ながらのまっすぐなタイプと、肩のラインに合わせてなだらかに湾曲しているタイプがあります。現在の主流は、湾曲させたタイプです。肩ベルトの形状が合わないと、ランドセルを重く感じる原因になりますので、大事なポイントです。
(3)長さ
案外忘れがちですが、長さのチェックも大切です。高学年になって身長が伸びると、肩ベルトの長さが合わなくなるケースもあるからです。高学年になると、ランドセルの代わりにサブバッグを持つ子どもも増えますが、身長何cmまで対応したランドセルなのかを調べておくと安心です。
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背カン
背カンとは、肩ベルトとランドセル本体をつなぐ金属製の輪っか部分です。肩ベルトとランドセルをつないでいるパーツなので、当然ながら壊れると背負えなくなりますし、背負いやすさにも大きな影響を与える大事なパーツです。
従来は「固定カン」が一般的でしたが、近年では「可動背カン」が大半を占めます。
(1)固定背カン
背カンが固定されており、壊れにくいというのがメリットです。ただし大きくなるとベルトがきつくなるというデメリットがあり、あまり見かけなくなりました。
(2)可動背カン
背カンが動くため、成長に合わせて左右に広がるのがメリットです。肩ベルトが左右同時に開くタイプと、別々に開くタイプの2種類があります。同時でも別々でも、口コミによれば「あまり大差ない」という意見が多く見られます。
吊りカン
吊りカンとは、ランドセルの背面上部についている金具です。その名の通り、ランドセルを机横のフックなどにかけることができます。
持ち手
持ち手とは、ランドセルを背負わずに持ち運びするためのパーツです。親世代のときはなかったパーツですが、保護者からの要望により、持ち手付きのランドセルが増えてきています。
ランドセルを持つとき、金具のフックでは指が痛くなりますが、持ち手があると安心。負担なく持ち運びができます。保護者が送迎でランドセルを持つことが多いなら役立つパーツです。
ただし「あったら便利だけれど、なくても困らない」という口コミも目立ちます。子どもが気に入ったランドセルに持ち手が付いていなくても、さほど重視するポイントではないでしょう。
ランドセル側面や内部のパーツ
次に、ランドセル側面や内部のパーツを見ていきましょう。
大マチ
大マチとは、ランドセルのもっとも大きな収納部分(メインポケット)をつくる、側面のパーツのことです。
ランドセルのメインポケットには、大量の教科書やノートなどを入れて持ち運びます。大マチの耐久性がないと、つぶれやへこみの原因になってしまいます。大マチがしっかりしているか確認しておきましょう。
メインポケットの容量に関しては、「A4クリアファイル対応」と「A4フラットファイル対応」の2種類があります。近年では、収納スペースに余裕がある「A4フラットファイル対応」が主流です。詳しくは別記事で解説していますので、ぜひご覧ください。
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小マチ
小マチとは、メインポケットの次に大きな収納部分(サブポケット)をつくる、側面のパーツのことです。
サブポケットには、メインポケットに入りきらなかった筆箱や配布物などを入れるのに使います。意外と使い勝手が良く頻繁に使うので、丈夫に作られているかをチェックしておきましょう。
ナスカン
ナスカンとは、バネで開閉する金属製のフックのこと。ランドセル側面や肩ベルトに付いています。
ちなみにナスカンという名前は、形状が野菜の「茄子」に似ていることから。給食袋や巾着袋などをぶら下げるために使います。
ただし袋をぶら下げていると、自動車や遊具、エレベーターなどに巻き込まれて、事故を招く可能性もあります。ひもの長い袋は特に、メインポケットに入れたほうが安心です。
とはいえ便利なパーツなので、子どもはつい使ってしまいます。事故防止のために、一定の荷重がかかると外れる仕組みのナスカンも増えていますので、確認してみてください。
Dカン
Dカンとは、物を引っかけるためのフックです。ナスカンのように、バネでランドセル側面や肩ベルトに付いています。
ちなみにDカンという名前は、形状がアルファベットの「D」に似ていることから。ナスカンと違って、バネで開閉しません。主に防犯ブザーを付けるために使います。
親世代にとっては、防犯ブザーはあまりなじみがないかもしれません。いまや小学生にとって、登下校に欠かせないグッズとなっています。入学前に慌てなくてもいいように、早めに用意しておくことをおすすめします。
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前段ポケット
前段ポケットとは、かぶせを開けたときに一番手前にあるポケットです。ファスナーが付いているため、大切な物や小さな物など、特になくしてはいけないものを入れるのに適しています。
たとえば、家の鍵や絆創膏、マスクなどを入れておくと便利です。女の子の場合、高学年になると生理用品が必要になる子もいます。前段ポケットの中に予備を入れておくと、急なときにも安心です。
最近では、出し入れのしやすい「ラウンドファスナー」や、薄くてかさばらない「L字型ファスナー」なども増えています。使い勝手の良さそうなものを選ぶと良いでしょう。
また多くのランドセルでは、前段ポケットに名前カードを入れられるようになっています。ランドセルに名前を書く場合、この名前カードに書くケースが多いようです。
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ランドセルの底面
最後に、ランドセル底面のパーツを紹介します。
錠前(じょうまえ)
錠前とは、かぶせとランドセル本体を留める金具のことです。
錠前には、親世代にとっておなじみの「手動タイプ」と、位置を合わせるだけでカギがかかる「自動ロックタイプ」の2種類があります。近年では自動ロックタイプが主流です。
自動ロックタイプだと、閉め忘れることがありません。
そのため、うっかり閉め忘れて動き回り、中身が全部飛び出てしまう……といった事態を防ぐことができます。
一日に何度も開け閉めするため、耐久性が重要です。丈夫に作られているかどうか、確認しておくと安心です。
【解説】ランドセルに自動ロックは必要?メリット&デメリットを紹介
ベロ
ベロとは、錠前とかぶせをつなぐ、V字型になった革部分です。ランドセルの中身が増えると、ベロが強く引っ張られることになります。錠前と同じように頑丈なもの、さらには柔軟性があるものを選びましょう。
下ベルト
下ベルトとは、ランドセルの底面から出ている短いベルトです。ランドセル上部から伸びている上ベルトを、下ベルトの金具に通して使います。
ベルトの穴を変えることで、肩ベルト全体の長さを調整することができます。子どもは、どんどん大きくなります。学期の始めなどタイミングを決めて、ベストな長さに調整してあげましょう。
ダルマカン
ダルマカンとは、下ベルトとランドセル本体をつなぐ金具のこと。下ベルトが柔軟に動けるよう、くるくる回る仕様になっています。
最近では、左右にスライドするタイプのダルマカンも登場しています。身長が伸びたり冬場に厚着したりしても、ダルマカンが動くことで窮屈さを感じずにランドセルを背負えます。
左右にスライドするダルマカンは、まだ少数派です。もし見つけたら、背負い心地を試してみると良いでしょう。
まとめ
ランドセルの各パーツの名称には、聞き慣れないものがたくさんあります。でも名前と機能を知っておくと、ランドセル選びがスムーズになります。
ランドセルの色やデザインは多様化していますが、基本的な構造は大きく変わっていません。ぜひ各パーツの名称や機能を知り、ランドセル選びに役立ててください。
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