ランドセルにはどのような素材が使われているのでしょうか。素材によって特徴がありますので、自分の子供の性別や性格、使い方などをイメージして、ぴったりの素材を選びたいものです。
この記事では、ランドセルに使われている素材の特徴をまとめています。
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ランドセルに使われる素材の違い
ランドセルの素材には大きく分けて「天然皮革」と「人工皮革」の2種類があります。
使うほどに味わいの出る天然皮革
ランドセルに使われる天然皮革はほとんどが「牛革」です。他に、馬のお尻の革をつかった「コードバン」や、加工のされていない「ヌメ革」などの高級品もあります。
天然皮革は長年使うことで艶が出たり深みが増すため、長く使う楽しみのある素材です。
天然のものですから、もともとの動物にあったシワやシミ、血筋(血管跡)が現れたり脂分が染み出して表面が白く見える場合もあります。天然素材のランドセルは、特徴をよく把握した上で購入をしましょう。
コードバン
馬のお尻の革で、馬1頭からランドセルのフタ(かぶせ、と言います)2枚分しか取れない希少で贅沢な素材です。
植物の渋(タンニン)でじっくりなめした後丁寧に磨いて作られており、大変手間がかかる高級品ですので、価格もかなり高くなっています。
硬さや高級さから「革のダイヤモンド」とも呼ばれており、しなやかで風格のある表情はコードバンならでは。革の表面はきめ細かく、傷がつきにくいのが特徴です。
こだわりが強い子供や、物を大切にする心を育てたいという考えを持っている保護者の方がよく購入されているようです。
ヌメ革
革の風合いが最も楽しめ、6年後が楽しみになる素材ですが、ランドセルでは一番お手入れの大変な革です。
牛革の表面に防水などの加工がされておらず、傷やシワなど、もともとの動物がもっていた個体差もそのまま残してあるのが特徴で、年月とともに色味や艶、風合いが深まります。
ランドセルの中では重い方で、1400g前後(合皮の軽量タイプは1000g前後)ありますので、長距離通学の場合はよく検討しましょう。
牛革
牛革は独特の光沢があり、使うほどに味がでてくるので、大事に手入れをしながら使うことで自分だけの特別なランドセルになっていくことでしょう。
メーカーによっては牛革、牛革キップ、牛革ボルサなどと書かれていますが、いずれも牛の革で出来た素材です。
最近では牛革であってもカラーバリエーションが豊富にあります。表面にはっ水加工がされているなど、人工皮革と同じように手軽にお手入れできるため、人工皮革と同じように牛革を選ぶ人も増えています。
ただし、重さは人工皮革よりやや重く、価格も高めな傾向があります。
牛の産地
牛の産地は国産(ジナマ、地生とも呼ぶ)や北米産、ニュージーランド産、イタリア産などですが、格安のものには中国産が使われていることがあります。
大手ランドセルメーカーで産地まで記載されているところはほとんどありませんが、工房系メーカーでは素材の産地からこだわって、選ぶまでのストーリーが紹介されているところもあります。
牛革の加工
シボ加工といって、革の表面に模様やシワの加工がされているランドセルが主流です。爪痕や手垢、キズがつきにくくなっています。加工のないものはスムースと呼ばれており、キズ付きやすく目立ちますが、本来の皮の特徴がよく出ていて個性的なランドセルになっています。
軽くて丈夫な人工皮革
ランドセルの90%は人工皮革で作られており、天然皮革よりも汚れや傷に強くて軽い特徴があります。
色や素材のバリエーションが多く、個性的なランドセルも多くあります。価格も天然皮革と比較すると手頃なものも多く、手入れが楽なことから人工皮革のランドセルを選ぶ人が多いです。
代表的なものはクラリーノ®で、ランドセルの人工皮革の70%を占めています。同様の機能をもった人工皮革に、タフガード、ベルバイオ、エアヌールなどがあります。
クラリーノ®シリーズ(株式会社クラレ)
クラリーノは株式会社クラレが開発した人工皮革で、雨や汚れに強い、軽い、丈夫、値段が手頃、お手入れが簡単、カラーバリエーションが豊富といった特徴があります。
6年使用するランドセル用にはクラリーノの中でも特に厳しい水準をクリアしたものが使用されています。
クラリーノの特徴
動物の皮(天然皮革)の構造をモデルにした高品質な人工皮革で、ベースの不織布層は伸び縮みしながら引っ張りや折り曲げ、切り裂きに対応します。
表面はポリウレタン樹脂でコーティングされており(※コーティングされないスエード調の加工もある)、1967年にクラリーノのランドセルが発売されて以来、現在は人工皮革の70%のシェアを占めています。
クラリーノと合皮(合成皮革)の違い
表面はどちらもポリウレタン樹脂加工されていますが、合皮のベースは不織布以外の繊維や編物が使われており、クラリーノとはまったく別の構造になっています。
クラリーノの種類
クラリーノには次のような種類があります。
クラリーノ®エフシリーズ
- レインガード®Fa…撥水加工されており、軽くてしなやかで高級感がある
- レインガード®Fx…シボ感があり革のような上質さ、風合いがある
クラリーノ®シリーズ
- レミニカ®…表面が傷に強いウレタン層で加工してあり、丈夫でスタイリッシュ。レミニカパール(パールの光沢があり女の子の可愛らしさを表現)とレミニカマルスター(革に幾何学模様があり男の子のスポーティさを表現)がある
- タフロック®…レミリカより表面強度が強く、ハードな傷に強いクラリーノシリーズで最も丈夫な素材(※タフロック®ペアレス®はセイバン採用の新素材)
- リピュート®…しなやかな革の風合いがあり、メタリック調の輝きがある
クラリーノ®背当て用素材
- ロベニカ®…マイクロファイバーを採用した高強度な人工皮革で、通気性にすぐれ、丈夫でしなやか、抗菌機能がある
タフガード®シリーズ(帝人コードレ株式会社)
タフガードは帝人コードレ株式会社が開発した人工皮革で、スレや破れに強く、軽くて丈夫な素材です。
ニトリと共同で展開するランドセル「わんぱく組」のために開発されたランドセル用素材は、帝人ファイバーの特殊中空ポリエステル繊維(エアロトップ)とリサイクルポリエステル繊維(エコペット)を組み合わせた不織布と、特殊ポリウレタンで作られています。
タフガードの種類
- タフガード…軽くて丈夫、スレや破れに強い
- タフガードライト…耐久性と防水性はそのままで10%の軽量化を実現したタフガード
- エアリー…通気性に優れた人工皮革で、汗をかいて蒸れやすい背当て部分に使われる
その他(ベルバイオ、エアヌール)
その他、人工皮革には株式会社フィルウェルの開発した「ベルバイオ」や、東レ株式会社の開発した「エアヌール」などがあります。
いずれも軽くて傷や汚れに強く、ランドセルに最適な素材となっています。
背当てに使われる素材
背当て部分は人工皮革が使われる事が多く、蒸れやすい背中に使うため、通気性の良いものが採用されています。代表的な背当て用の素材としては次のようなものがあります。
- クラリーノロベニカ…抜群の通気性、クラリーノ通常品の2倍の強さ、丈夫さ、天然皮革に近い風合いでランドセルの背当てとして最も使われている
- エアリー…汚れにくく、水を通しにくい、通気性と透湿性を保持して蒸れにくい
- アウトラスト…NASAのために開発された快適温度調節素材、背負った時の表面温度を32度前後に保つ
その他、スーパーブレスター、エアーフレッシュ、ブレスレザーなどがランドセルの背当てによく使用されています。いずれも通気性に優れ、汚れや水に強い人工皮革です。
まとめ
ランドセルに使われる素材は、大きく分けて天然皮革(コードバン・ヌメ革・牛革)と合成皮革(クラリーノなど)があります。天然皮革のランドセルであっても、蒸れやすい背当ては機能的な合成皮革を使用している場合もあります。
お手入れのしやすさ、価格帯、デザイン、お子さんの個性などに合わせて選ぶと良いですね。
なお、お手入れについての記事はこちらになります。あわせてご覧くださいね。
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